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築100年以上の古民家、柱や梁を活かしフルリノベーション【堺市北区の大工建築士工務店】

こんにちは。堺市北区の工務店、ニシキホームのハルです。

今回は、とある地域で古民家のリノベーション工事を行ったので、そのビフォーアフターをご紹介します。

築年数100年を超える、海の近くに佇む小さな木造2階建ての古民家。
小さなお家ですが、古き良きを感じさせてくれるお家でした。

その時代を経た趣を残しつつも、現代の快適性や安全性を兼ね備えたフルリノベーションの全貌を写真を添えて紹介していきたいと思います。

100年以上前に建てられた古民家の棟札

棟木に取り付けられていた棟札。大正2年となっています。
築110年以上ということになりますね。

時代の積み重ねを感じた古民家の解体作業

古民家の解体作業

写真は、リノベーション工事が始まった直後の写真です。
右側の部屋は和室で、畳が敷かれていました。

100年以上前のお家ですが、ところどころリフォーム工事が行われていました。
壁や天井には、一昔前のプリント合板の仕上げ材。
左側の廊下、ダイニングキッチンはフローリングが貼られていますが、元々は畳の部屋だったのだと思います。

大きな窓の外は、緑が見渡せて気持ちがいいです。窓もすべて入れ替えます。

こちらの写真は逆から撮った写真です。
右側の開口は玄関。左側に扉が見えますが、この扉の先はトイレになっています。
和室だった部屋に2階に上がる階段がありましたが、今回の工事で利便性を高めるべく、トイレの位置、階段の位置は変えました。
また玄関の位置も変えました。

洗面所、浴室です。
こちらは、壁などは解体しますが位置は変更せず、新たな浴室、洗面台へと新調します。

解体中の写真です。すごいことになっていますね。笑
今回のリノベーションでは、1階の床はすべて取り除き、土台だけの状態にしました。

床下は土となっていましたが、今回のリノベーション工事で全面土間コンを打っています。

2階の天井、解体前です。
天井材の裏には、長い年月をかけて屋根からこぼれ落ちてきた土が載っています。解体中は土埃がすごいことになります。

古民家、屋根の解体作業

瓦屋根の解体作業中の写真です。

この瓦屋根は昔ながらの工法で、土をたっぷり使って固定されていたため、解体するたびに土埃が舞い上がります。この土は屋根の断熱や調湿の役割も果たしています。

ですが、阪神大震災で同様の瓦屋根の倒壊が多くあったため、このことをきっかけに土葺きの屋根は急激に減少しました。

耐震性のことを考え、この土や古い瓦は一度すべて撤去し、新しい屋根材へとつくり変えました。

屋根は普段見ることのない部分ですが、構造や防水、断熱など、家全体に影響を与える重要なものです。解体終了後は、新たな屋根構造の下地を整えていきます。

100年の時を支えてきたどっしりとした梁

写真に映っているのは、長年この家を支えてきた立派な梁たちです。
現在の木造新築住宅で、このような梁を使用することはほとんどありません。古い家ではこういった梁が使われているのをたまに見かけますが、現代では貴重なものになってきているということですね。

古民家解体時に感じた「独特の個性」

写真をご覧いただくとわかるように、真っ直ぐではなく、絶妙に湾曲した梁が印象的です。
まるで自然そのままの木の形を活かしたかのように使われています。
今のように機械で製材された木材ではなく、一本一本の個性を見極めながら、家の骨組みとして組まれた木材たち。
多少の歪みや曲がりも、「独特の個性」として構造を成立させているのが、古民家の魅力のひとつです。

こうして“家の中”があらわになると、改めてこのお家がどれだけの歳月を重ねてきたか、そしてどれだけ考えて造られてきたかが伝わってきます。きれいに製材されている現代の木材とはやっぱり違います。
解体作業は一見“壊すこと”だけに見えますが、“過去を知ること”でもあるんだと感じます。

古民家解体作業を終え、快適な住空間へリノベーション

ここからは、リノベーション後の写真です。

自然素材のぬくもりに包まれる玄関

玄関を入ったところからの写真。無垢の杉板を張った床と壁、そして落ち着いた色合いの梁が、自然素材ならではのぬくもりを演出しています。古民家特有の構造はそのまま活かしながらも、断熱性や気密性を高め、現代の暮らしに寄り添う快適な空間へと生まれ変わりました。

正面は石膏ボードを張っているのは、お客様がご自身で漆喰を塗るための下地となっています。

照明や建具、階段のバランスにもこだわり、古さと新しさが調和する、やさしい時間が流れる住まいになっています。

解体材は玄関框・踏板に再利用。シンプルながら個性あるデザインに

今回の古民家リノベーション工事では、解体時に出てきた古材を再利用することにも力を入れました。

たとえば玄関の框(かまち)、踏板は、かつてこの家を支えていた柱の一部を加工して使用しています。100年の時を刻んだ木を再利用した、味わい深い玄関になったと思っています。

古民家の趣を残しながら、開放感あふれるLDKへ

かつては天井が低く、光の入りづらかった部屋が、優しい光が差し込むLDKになりました。
梁をあえて見せる“あらわし仕上げ”で、古民家の構造美を残しつつ、床や壁には無垢の杉材を全体的に使用。ナチュラルな木の表情が、空間全体をやさしく包み込みます。

写真左側に見えるのは、2階への階段。縦方向の広がりを活かしながら、空間に奥行きを与えました。

キッチンも造作で設け、既製品にはない温もりが感じられるのではないかと思います。

木の温もりを活かした、やさしい雰囲気の洗面所&浴室

洗面所と浴室です。
こちらも自然素材のやさしさを感じられる仕上がりにしました。

小さなスペースながら、ミラーや棚の配置も一工夫。洗濯機を置くスペースもちゃんとあります。
白い洗面ボウルとのコントラストで爽やかな空間となっています。

シンプルながら存在感のある階段。奥に便利な稼働棚

階段はできるだけ圧迫感のないよう、踏板だけで仕上げて軽やかな印象に。
光や風が抜けていくこのデザインは、見た目にもやさしく、1階の空間に馴染んでいます。

奥に見える可動棚のところは、もともとは玄関だった場所です。がらっと変わりました。

この階段を上っていくと…

“こもりたくなる”空間。2階に生まれた癒しの部屋

リノベーションを経て生まれ変わった2階の一室。

天井から壁、床までぐるりと無垢材で仕上げたこの空間は、木の香りとぬくもりに包まれた“隠れ部屋”のような空間。古民家の力強い梁が空間にアクセントとなり、どこか懐かしさと新しさが共存する、落ち着いた雰囲気となっています。
この空間は、工事前は「押し入れ」のみでした。大部分がデッドスペースとなっていましたが、今回の工事で空間を広げることができました。

天井の勾配に沿って貼られた無垢の木板が、空間全体をやさしく包み込みます。
横長の窓からは、自然光がやわらかく差し込んで、昼間はほんのり明るく心地よい雰囲気に。

そして、天井にどっしりと横に伸びるのが、古民家の歴史を語る梁
工事前はこの梁は屋根裏(天井裏)に隠れていましたが、今回のリノベーションによって姿を現しました。
そうすることにより、天井高が以前より高くなり、圧迫感がなくなりました。塗装を施し、空間全体のアクセントとなっています。

リノベーション工事、お任せください

古き良きものを活かしながら、リノベーション工事を行いました。
今回工事を依頼してくださったA様、ありがとうございました。

古民家ということもあり、解体してから直面した問題もありましたが、大工建築士である代表の判断により、癒しと安らぎのある素敵な住まいになったと感じています。

リフォーム・リノベーションをご検討されている方へ

堺市北区にある工務店、ニシキホームの強みの一つは【現場経験豊富な大工建築士】が実際にお家を拝見し、ご提案することです。
「どこに頼んだらいいのかわからない」と悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。

お問い合わせフォームから、お気軽にどうぞ。

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